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お下げ髪の少女 後半

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第9章 三角関係



新緑の萌える季節になっている。五月中旬を過ぎると、雨の日も多くなった。瞬く間というが、実際のところ、緒方にはそんな想いがある。アパートの畳の部屋で、彼は回想していた。
美緒の兄と、小泉は優秀な頭脳に恵まれていた。二人共大学に合格した。杉原は私立の文化系の方の学生になったらしい。小泉は公立で、理工系の様だ。だが、それは噂なので正確なところは判らない。
何度も追試を受けさせられ、漸く高校を卒業した緒方が就職した電気会社は、電話交換機のトップメーカーで、社員数は五万人以上だった。緒方が通っている広大な敷地を持つ工場では、プリント基板の製造工程に配属された。小宮は同じ会社の営業サービス担当になった。勤める場所が遠く離れているので、殆ど会う機会がなくなった。緒方は主にNCテープの変換作業を、工場の敷地内にあるコンピュータルームで、午後五時まで行っていた。
来週から彼は会社に内緒で、夜のアルバイトを始めることになった。仕事場は、あの、百号の絵を納入したレストランである。そこでは、ジャズの生演奏が行われていた。編成はピアノ、ベース、ドラムス、アルトサックス。クァルテットである。その中のベーシストが、去年音楽大学を出たばかりだった。その青年が外国のクラシックのオーケストラの採用試験に合格し、レストランでの仕事を辞めることになった。その欠員を、義兄の野上勝の推薦もあり、緒方が埋めることになったのだった。