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つぶやき詩集 (1)

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はずなのに・・・



朝、目覚めて
返事がないはずなのに
「おはよう」とつぶやく

そんな馴染んだ生活
部屋を見回しても

誰もいないはずなのに人影を探す
懐かしい香りが蘇る

自分の好きなコロンの香りが
クローゼットから漏れている
いないはずの君の香り
ちょっと淋しさを誘う

もう、何度も感じた心
解っているはずなのに
指先に感じる君を探す

ちょっと、淋しさにも慣れてきたはずなのに
心に吹く風が冷たい

夜明け前の部屋で誰もいないはずなのに
忍び足で歩く

なんにも話さず
なんにも触れず
なんにも変わらないはずなのに
面影を追う
ちょっと淋しい

そんな日々を重ねてきた
君はいないはずなの
この部屋のいつもの場所に座る
一度も座った事のない場所がそこにある

広くなった部屋で夜明けを待つ
何もせずに、ただじっと夜明けを待つ
「早いわね?」そんな声を待ちながら
ただじっと待っている

慣れたはずなのに記憶の悪戯が悩ませる
自分で選んだ生き方だったはずなのに

淋しさに身を任せらない

独りの気楽さに慣れたはずなのに
記憶の妄想が淋しさを募らせる

優しく出来なかったあの日は戻らないはずなのに
記憶が心を縛り付ける

なんにも変わらないはずなのに
心に吹く風を感じながら遅い夜明けを
静かに待っている


作品名:つぶやき詩集 (1) 作家名:Riki 相馬