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第3

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昭和63年(1987年)

僕はもう社会の束縛からは遁れたけれど、苛めっ子らの

襲撃からと親の、一方的な僕のに対する15年に亘る

搾取、隷属、専横、暴力から遁れる為、長崎港から逃げる様に

増田水産株式会社の船で大海原へ飛び出した、船で

全速力20ノット、夜討ち朝駆けで、1日も掛かる日本から

約20万海里、台湾から8千海里の地平線は真っ青の

見渡す限りの空のみと、濃いブルーの果てしなく澎湃たる

海だけ、木の葉の様に僕の小さな小さな、船を荒波の

波動が、遊ばれる様に、無力に、只、前後

左右にと、揉まれ揺れていた・・・・

2ヶ月間この、大自然の海と空だけに漂った家もビルも

山も、人も、何もない、只、僕たちだけが其処に、存在した・・・・   

大嵐、空は灰色に、淀み暗雲が重く垂れ込め、風は唸り上げ

突風で、何もかも吹き上げ、飛ばして行きそうに猛り、猖獗し

4m級の大波が襲い被さり、轟音の波飛沫を寄せては引き、

木の葉の船を、ミキサーの中の、果物を、細かく砕き

渦巻き揉みくちゃにする様に、大波動の上で、踊り

ひっくり返さんばかりに、タイタニックも、色褪せる程の

自然の猛威の前では、生か?死か?何れかのみ、天運が

決めた、この中では僕たちは、只、沈黙し静謐に嵐が去るのを

自然に踊らされ、弄ばれ、為されるがままに

任せ、待つ事しか、出来なかった・・・・

僕は絶対、沈没して死んでしまうと想う位に凄かった・・・・

2時間仮眠して、2時間作業するサイクルだ、獲物は

鯛、黒鯛、メバル、秋刀魚、ゴチ、アカメ、蟹、海老、

団扇海老、蝦蛄、鮟鱇、エイ、鱧云々だ、縦1m30cm

横90cmのエイの巨大な体、腹を割と血がブワッと溢れ

迸り、内臓臓器類が顔を覗かせる臓器は、本体

腐敗させるので取り除き、棄てなければいけない肝臓、心臓、

腸・・・

 心臓はタバコの空き箱に丸みを加えた大きさで

紫がかった赤色で斬り取って2分位ピク、ピクッと

脈打って、生きている、不思議だった、体から、包丁で斬り

取ってるのにである・・・

 本体も即死などしない1分近く心臓、肝臓、臓器類を

除去してるにも拘らず、躍動しばた狂っていた・・・

肝臓を除去し、鷲掴みに握り潰した、青黒い肉と脂肪と血が

溶岩(マグマ)様に、細胞分裂しながら、僕の手の、圧力で

盛り上がり、ジュワーと流れ滴る血、肉、脂、細胞が・・・・  

何回もの解体実験、魚たちの命の犠牲(仕事でやったんだけど)

今、思い出せば、惨い事をしてたと贖罪したい彼らの命の

犠牲と、内臓や心臓を斬り出しても、ばた狂い苦しんだ後の

魂のない、只の物体となった肉を食べ僕は彼らの命

痛み苦しみのおおかげ(命を殺して)(命を食べ)で

生きれていると頭が、上がらない店やコンビニ

スーパーでは、綺麗にパッケージで飾られ箱に入れられ

只、金でその箱を商品と看做してしか買わなけれど本当は

豚も、牛も、鳥も、血を流し痛み苦しみ抜いて、その

プロセスを経た命を僕は、金で買って生かし

貰っているんだ・・・・・

僕は彼らの痛みと苦しみと命を、これまで余りに

軽く扱い、安く買い叩いた、慙愧の念に耐えない

事を35年にして理解したで以上の摂理が、顕彰された一寸の

虫にも五分の魂、人間と同じ、内臓もなにもかも大きさ、形

種族、が違うだけ、只、人が彼らより力を持っているだけ

と・・・・

魂と体は別の生き物だと鱧の生命力は、これまた

凄まじい、腹を切り裂いて、内臓を除去しても鋭利な牙で

僕の指に、何度も噛み付き、剃刀で斬られる痛さを僕の手や

腕、指、に命果てるまで最後の力を振り絞り、彼らの

敵の僕に果敢に、傷跡を残し、闘い果てて逝った・・・・

 あっぱれ、な強さである、一体この僕に、彼らの様な

果てるまで、闘う気概と強さが、あるだろうか?腹を一刺し

されたら、忽ち泣き叫び命乞いするのではないのか?彼らの様に

心臓、取られても、ヤラレタ相手に、逃げずに果てるまで

報復攻撃を果敢に、闘えるだろうか?・・・・・・

羨ましい限りの、強さである・・・・

僕は15歳、気の荒い、海の男たち海の上では法律はない

俺たちが法律だと嘯くが、あながち嘘でもなさそうだ、夜の

海に転落して、行方不明になった事にすればいいらし

警察も誰もいない世界、治外法権だ、ここに、存在している

15人だけが、分担し、調理師、機関士、舵取り船長、測量士、

雑務甲板員作業員、が協力し自然と闘い、生き延びようと

助けあっている、これが、この生き方が生き方だけが

掟、法律なのである、自分の身は、自分たちで守るしかない

僕を特に、目を書かけ、可愛がテくれた20歳の兄ぃやん

がいた体格がマッチョで、異常な程までに、筋肉質の

盛り上がった風貌だった、この人がまた酒癖が悪く酔いどれて

僕に刺青を、入れてやる、と意気込み難渋したり

 船内の独り用の狭い風呂に入って集中し身体を洗ってたら

突然風呂の扉を開け放ち、バケツの冷たい冷水を

かぶせられたれした、悪戯ものだ、でもでたらめにはせず

潮時を理解している人であった、ある日僕が、その

20歳の兄やんに揶はれていたら、同じ船乗りの40代の

人から、横槍を入れられ、酔払ってた兄やんは、睨つけあげて

何だとこら!文句なんなら、勝負すっから、艦橋ブリッジに

出ろと捲くし立て、他の船員たち10人が仲裁に入り

宥めようとしたが、兄やんは腕っ節の腕力の強い海の

猛者度も10人相手に、一分も怯まず却って興奮し

お前ら全員、海に沈めて、遭難させ、事故死にみせかけ

殺してやる、と一喝すると皆、地団駄し、びびりまくり

顔を下に俯かせ、何も出来ず、だんまりを決め込んだ

兄やんの、気合勝ちだった・・・・

僕は当直の練習、操舵室で、舵を握り船頭の、ご指導の下に

羅針盤と格闘wsw?EsN?ウエスサーウェス

イースサーノース、サウスサーイース・・・・

2ヶ月の航海を終えドッグにメンテナンス

久々の大地に触れる。

 僕は虫歯になり痛みが激しく治療の為に退社した・・・・

計4ヶ月2航海働いた・・・・ 

僕はいつの間にか、4ヶ月の船上生活で、身長154cmだった

のが、知らず知らずのうちに、182cmの巨体に、成長してた

航海中は、鏡などなく、また洒落る必要もなく

男ばかりの生活と、仕事に追われ自分の容姿に気を払う暇も

環境もなかった・・・

 僕は久々に陸のうえの、地元の浜の町と呼ばれる、繁華街

アーケードを低回してたら

苛めっ子たちに、遭遇した、彼らは高校生服に

身を包み、女連れの3人グループだった、彼らは僕の

顔を認識すると、なにやら躊躇いがちに臆した表情を

僕に感じさせた、僕は、ばつが悪そうに、挨拶した

ひ、久しブリっ、て・・・すると相手の1人が僕の脚を

蹴り上げ、馴れ馴れしく声を掛けるなと、罵声を上げた

僕は引っ込みが付かなくなり、腹も立ったので

大声で何だとコラーッーと怒号を出した、すると

僕の最初の直感どうり、彼らは、臆しているのが
作品名:第3 作家名:万物斉同