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CROSS 第13話 『帰投』

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第5章 快適じゃない空の旅



 山口たちを乗せたエアリアルは、無事に霧の上を出ることができ
た。青空が広がっており、太陽は高く上がっていた。機内は、隊員
や負傷兵や遺体で混み合っているため、異臭がひどかったが、空気
の浄化装置を最強設定にしてからは良くなった。
『少佐、予定の時刻には間に合いそうです』
「そうか」
機内が混んでいて移動ができないため、山口とヘーゲルはバッジの
無線機で話していた。山口はぼんやりと窓の外を見ており、妖夢は
犬走椛にインタビューされていた。上社は疲れたらしく眠っていた。
『それで少佐。この世界での我々CROSSの死者数の件ですが……』
「その件は艦に戻って一息ついたときに聞くよ。もう疲れた」
『……わかりました』
そこでヘーゲルとの話は終わった。

「少佐さんは目がいいんですね?」
妖夢にインタビューしていた犬走椛が、暇そう(犬走椛にはそう見
えたらしい)にしていた山口に話しかけた。いっしょにインタビュ
ーをしてしまおうというのだろう。犬走椛の額にはバンソウコウが
貼ってあった。
「これはコンピューターアイだぞ。本当の目じゃない」
山口は窓の外を見るのをやめて、犬走椛のほうを向き、目を見開い
て犬走椛によく見えるようにしてみせた。山口の目は、不自然に赤
かった。
「……そうなんですか。少佐さんの目が赤いのは吸血鬼だからと思
 ってました」
「オレは100%人間だ」
山口はそうはっきりと言い、
「演習中にやられてな」
そう言葉を続けた。
「その話を詳しく聞かせてくださいよ」
犬走椛が興味津々で聞いてきた。犬走椛は完全にブン屋になってい
た……。山口は、しまったと思った。このままでは、艦に戻るまで
犬走椛の独占取材に付き合わされるだろうと……。
「……妖夢から、今回の出来事での武勇伝については聞いたか?」
妖夢のほうへ犬走椛を促した。妖夢に押し付ける気だった……。だ
が、妖夢は、そんな山口の思惑に負けるつもりは無いらしく、
「私はもう全て話しましたよ。私も少佐さんがドジってメクラになったわけを知りたいです」
最後のほうは棒読みで、妖夢はそう切り返した……。
「早く話してくださいよ」
犬走椛が催促する。
{変なデマを流されるよりかはマシか……}
山口はあきらめた様子で口を開いた。

「おい!!! 敵だ!!!」

 その声は、山口の口から出たものではなく、さっきからずっと窓
の外を見ていた隊員のものだった。山口は「悪いけど、仕事だから」
と言って、犬走椛をあきらめさせた。(妖夢は最初からどうでもい
い話だと思っていたらしく、身なりを整えているところだった)
 窓の外を見ていたその隊員の声に、機内にいた隊員たちが、一斉
に窓の外を見た。山口も近くの窓から外を見た。