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ユキナ・リュカ ~この世界~

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拾い者



「また拾ってきたんですか?」
「軍主の俺に対していい口のきき方だね、シュウさん。第一、また、とはなんだよ、また、とは。シュウさんだって仲間を集めるのは賛成なんだろ?」
「そう言いながらいろんな生き物までも拾ってくる方はどこのどいつでしたっけね。」
「なんだと、じゃあ何か、ムクムク達やジークフリードやフェザーやバドは役に立たないとでも?ムクムクなんか一時はこいつらよりもレベルが高かったんだぞ?」
「ちょっと待て、ユキナ、バドをいれるな、バドをっ。」
「うるさい、フリック、お前も一時はムクムクよりレベル低かったくせに。」
「ぐっ」
「・・・ちょっと、待て。色々とつっこみたいのは山々だけど、一つ言わせて・・・。」

軍師の部屋。

あの後、4人は城についた後でそのまま報告がてら軍師の部屋に立ち寄った。
ユキナがリュカを軍師であるシュウに紹介し始めようとしたところで、シュウから冒頭のような一言をもらい、食ってかかっていたのをフリックが横から突っ込み、逆に返されたところで、それまで唖然として立っていたリュカが口をはさんだ。
ビクトールはただニヤニヤとそんな光景を見ているだけだったが。

「マクドールさんっ。あ、失礼しました。ほら、シュウさん、あんたが余計な事言ってるからマクドールさんに迷惑がかかってんだろ?」
「わたしだけのせいか?・・・ちょっとまて。マクドールだと?まさか・・・いや、まさか、な。」
「なにがまさかなんか知らないけどさ、あんたはいちいちうるさすぎ。そんなだから俺も書類が進まないんだよ。」
「いや、それはまったくもってお前が悪いんだろうが。人のせいにするな。」
「ちょっと待て、ユキナ、暴走してるぞ、それは・・・。」
「うるさい、フリック、過去に暴走していた青い奴に言われたくない。」
「ぐっ」
「だから・・・ちょっと・・・、いい加減にしてっ。」

またもや同じような事が繰り返されそうになり(いや、すでに繰り返されてはいたが)、リュカが体を震わせながら絞り出すように言った。

「まったく、なんなんだ、君達は・・・。」
「すみません、マクドールさん。」
「すまん。」

怒られて子犬のようにシュンとしたユキナと、困ったような顔をしたフリックが謝った。

「それから・・・軍師殿。」

リュカがあらたまってシュウに声をかける。
シュウはなんだ、というようにリュカを見た。

「勝手についてきて申し訳ない。たしかに普通は入隊試験でも受けるべきだろうが、身元の保証は、ここにいるビクトールとフリックがしてくれる。僕はリュカ・マクドール。」

驚いたようにシュウがリュカを見て口をはさんだ。

「やはり、あのリュカ・マクドール殿なのか?トランの・・・」
「・・・ああ、多分あなたが言いたい事は分かった。確かに、僕は三年前に革命を行った張本人だ。それの関係もあって、ここに来ても戦争自体に参加はできない。ただ、なんらかの協力はできれば、とは思っている。」

シュウはポカンと口を開けて見ていたが、ふいに我に返り、言った。

「ああ、いえ、失礼いたしました。確かにあなたが直接前線に出てくるのは色々と問題がありそうですね。だが、ご協力、感謝いたします。」
「いや。」
「なんだよ、シュウさん。えらく俺に対してと態度が違うんだけど。とりあえず、これで紹介は終わったって事だよな?じゃあ俺、もう行くから。後の報告はそこの2人から聞いておいて。じゃあね。あ、マクドールさん、来て下さい、案内します。」

リュカとシュウの話をいちおう大人しく聞いていたユキナは話がいったん切れたと思うとすかさず割り込み、強引に話を終わらせた。
そしてリュカの手をとってそのままリュカをひっぱり部屋を出ていった。
後ろではシュウの怒声が聞こえていたがまったく聞こえないふりをしてそのままニコニコとリュカを連れ出すユキナ。

「・・・いつもああなの?」
「え?ああ、ほんとにごめんなさい。だいたいうちの軍師もひどいですよね、拾ってきたとはなんだよ、まったく。」

リュカに声をかけられ、歩を緩め、ユキナは振り向いてニッコリと言った。

「まぁ、それも何だが・・・。まぁ、いい。あ、それにしても青い奴って?」

ずっと握られていた手をふりほどき、リュカが聞いた。
ユキナは残念そうに離された手を見ていたが、ああ、とまたリュカのほうを見た。

「フリックの事ですか?いえ、ほら、彼、けっこう熱血暴走バカだったんでしょ?今はね、それなりに大人のふりをしてますけどね。」

またもやニッコリとユキナが言った。
・・・熱血暴走バカ・・・。
・・・それなりに大人のふり・・・。
まあ、確かに3年前、フリックはどちらかといえばそんな感じで青いところも多々あったが・・・。

「いまは違うなら、なぜ知ってる?」
「え?ああ。多分マクドールさんも気づくだろうと思いますが、けっこうこの城、3年前にあなたと一緒に戦っていた仲間がいるんですよ?俺はただ彼らから聞いただけです。」

そのままエレベータで下に降りてきたユキナがそう答える。

・・・仲間が、たくさん、いる・・・?
ふとリュカは自分の右手に目をやった。
自分に沸いた不安な気持ちに反応したのか、手がうずき出した。

「?マクドールさん?」

目ざとくそれに気づいたユキナが声をかける。

「・・・いや・・・。僕は・・・」
「大丈夫ですよ、マクドールさん。何か心配な事があっても、俺がちゃんと守りますから。」

すかさずユキナは、不安そうに手を抱え俯こうとしたリュカをじっと見ながら肩を持ちつつ、そう言った。

「何を・・・。・・・?」

辛そうな顔でユキナを振りほどこうとしたリュカだが、ふいに考えるような表情で固まった。

「マクドールさん?」
「いや・・・おかしいな・・・?なぜが君がそうやって近づくと、楽に・・・」
「え?ほんとですか?やだなぁ、それって・・・」

リュカの言葉を聞いたとたん嬉しそうに答えかけたユキナを遮って声が聞こえた。

「紋章のおかげだね。」

ユキナがムッとしながら踊り場の下を見る。
・・・今の声は・・・リュカがそう思った時、ユキナが下にいるであろう誰かに話しかけた。

「邪魔するなよなー、いつもは無口なくせになんだよルック。」

やはり。

「ルック。」
「ああ、そうか。前の戦いでも参加してたんでしたけ。じゃあ紹介はいらないですよね。」

そう言いながら、少し面白くなさそうにユキナはリュカを下に案内した。

「久しぶりだね。」
「ああ、久しぶり、ルック。ルックも参加してたんだ。」
「まあね。レックナート様の言いつけだよ。」
「てゆうか俺を忘れてないよね?」

2人で話し始めたところに入っていくユキナだったがあえなく無視された。
そりゃないよね、と横でブツブツ言ってるのも無視したまま、リュカはルックに聞いた。

「で、紋章のおかげというのは?」
「ああ。君のもってる紋章と、こいつの持ってる紋章が共鳴したんだろ。こいつの持つ紋章は癒しの効果もあるしね。」
「てゆうか、こいつって言うな」
「彼の持ってる紋章?」
「ああ。」

相変わらずユキナの言葉は無視されたまま会話は続いた。