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ユキナ・リュカ ~この世界~

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成長期



「なんかさー、最近足とか痛いんだよね。」

ユキナが石板前に座って、肘を膝に乗せて頬杖をつき、正面をぼんやり見ながら言った。

「・・・知らないよ。ていうか何してんのさ?軍主の仕事はどうしたんだよ。」

いつものごとくそこに立っているルックがジロリと見下ろして言った。

「うるさいなー、たまにはこやってー、なあ、シーナ?」
「だよな?」

ユキナの横に、同じように座って片足を投げ出しつつ、正面を同じく見ていたシーナがニヤリと同意する。

「のんびりくらい、させろよ、ルック。」
「・・・あんた達の目線が気持ち悪い。」

正面から目をそらさずに言ったユキナにルックは呆れたように答えた。

「・・・失礼だなー。俺らはこやってここで休憩してるだけじゃん。」
「そうそう。何が悪いんだよ。」

ユキナ、シーナともどもしゃべりつつもやはり正面を見たまま。
2人の目線先には、オウラン。

「・・・あきらかにあんた達の目線がセクハラだろ・・・。」
「えー?酷いよ、ルック。たまたま向こうにオウランがさ、ねえ、シーナ?」
「そうそう、オウランがいるだけじゃん。・・・しかしまあ、凄いよな?」
「んー、あれってどれくらいの重さあるんかな?ぜったい凄い重量だと思うんだけど。」
「もはや武器だよな。」
「でもあれなら俺、攻撃されてもいいかもしれない。」
「じゃあユキナ、行ってこいよ。」
「やだよ、さすがに恥ずかしいわっ。」

しゃべりつつも目線はずっと、オウラン。

「・・・お願いだから違うところで頼む・・・。」

ルックがさらに呆れた、というより引き気味に言った。

「あら、聞きまして?シーナ。」
「おお。あのルックがお願いしてるぜ?」
「珍しい事もあるねー、明日は雨かな。」

そう言いつつも、目線はオウラン。

「・・・ムカツク。キモイ。」
「まぁまぁルックサン。お前もちゃんと見てみろよー?あれは神様がこさえた美だと俺は思う。」

シーナが言った。

「そうだよね?ほんと俺もしみじみ思うよー。あーてゆうかマジ足痛い。」
「それってアレじゃね?成長期ってやつじゃね?」
「まじでか!?じゃあ俺、背、高くなんの??」

まげていた膝を両方とも伸ばしたユキナに言ったシーナの言葉に即反応し、ユキナはさすがに目線をシーナに合わせた。
シーナは相変わらず目線を変えることなくうなづく。

「ああー、多分そうだと思うぜ?お前17だろ?まあ15くらいから伸びる奴はいるけどさ。まぁそんなもんじゃね?」
「わぉ。俺の美少女フェイスはおじゃんになるかもだけど、これでマクドールさんと大きく差が出来るー。」

リュカは早々に成長が止まってしまってるからか、背は小さい方である。それでもユキナ自身もまだ成長過程の為、さほど身長は変わらなかった。
ちなみにユキナ自身もリュカ同様、なかなかの外見をしており、一見美少女にも見えかねないほどで、そのおかげか、人の勧誘や誰かへのお願いなどはほぼ百発百中であった。

「・・・てかさー、なんでリュカな訳?」

投げ出していた足と反対の方の足を曲げ、そこに肘をついて頬杖をつきながらシーナが言った。だが目線は揺るがない。

「何が?」
「好きな奴の話だよ。リュカはそりゃ可愛いさ、その辺の女顔負けだろうよ。だけどさ、男なんだぜ?」
「だから?」
「や、ほら、ああいった素晴らしいお宝もないんだせ?代わりに俺らと同じもん、ついてる。」

ルックはもはや呆れた顔を隠そうともせず冷たい目を2人に送りつつも黙っていた。

「まあね、観賞なら俺だってああいったものを見てたいけどねー。俺もガチホモじゃございませんし?でもマクドールさんは特別!!」

ホウ、というため息をつきつつユキナがニッコリと言った。

「そんな可愛らしい顔して言う事かよ・・・。あーなんかなまってきた。よお、ちょっとナンパ、付き合わね?さすがに城内はアレだろけどさ、どっかの街とか行ってさぁ。」

んーっと伸びをしつつ、シーナが2人を誘う。

「僕が?冗談じゃない。絶対お断り。」
「まあ、ルックはそう言うだろうとは思ったけどさ。ユキナは?行こうぜ?」
「えー?行かない。」
「なんでよ?」
「だってメンドクサイ。それは興味ない。俺、マクドールさんしかいらないし。それに今はシーナやルックといてたいし。シーナやルックとしゃべってるほうが楽しい。」

それを聞いてシーナは思わず目線をはずしユキナを見た。少し照れているシーナ。

(・・・こういうところがなんか可愛いんだよな。まさに天性のたらしか?)

そしてルックを見る。・・・あらぬ方向を見ているが、これ、ぜったい照れてるよな?シーナは思った。