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ユキナ・リュカ ~この世界~

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呼び名



「そういえば・・・ねえ、マクドールさん。」

ユキナの部屋。
ユキナが書類仕事をしているのをしり目にリュカはベッドにごろんとくつろいで本を読んでいた時だった。

「なぁに?」

リュカは顔もあげずに返事をする。

「最近は俺に慣れてくれて、こうやって俺とよく一緒にいてくれるのは嬉しいんですけどね?」
「うん?」

相変わらず生返事をするリュカ。ユキナは特に気にもせずに続けた。

「マクドールさんて、いまだに俺の事名前とかで呼んでくれた事、ないですよね?」
「うんー?」

さすがにまだ生返事だった為、ユキナはため息をついてからベッドに近づき、浅く腰かけた。

「聞いてます?」

その時、初めてリュカは顔を上げた。

「ん?」

やっぱり聞いてなかったか、とユキナはまた繰り返した。

「名前。マクドールさん、俺の事、ちゃんと呼んでくれたこと、ありませんよね?」
「え?そうだった?」

リュカは起き上がって座りなおし、コテンと首を傾げた。
ベッドでこうも近くでそうゆうしぐさはやめて欲しい、とひそかに思いつつ、そんな事はおくびにも出さずにユキナは続けた。

「そうですよ。君って呼ばれた記憶は多々ありますけどね。」
「そうだったけ?まあ僕が君の事を測りかねてたっていうのもあったのかも。なんて呼べばいいかピンとこなくて。」
「そんなもんなんですか?」
「うん。まあ、そうだね・・・。」

うなずいてから、改めてリュカはきちんと座りなおした。

「君は普段はバカなことばかりしてるけど、軍主としては立派に務めていると思う。」
「え、あ、それはありがとうございます。」

きょとんとしつつユキナはペコンと頭を下げた。

「うん。だから僕もちゃんと君を守ろうと思う。君に仕えようと思うよ。」
「え、いや、そんな、それはいいですよっ。」
「ううん、僕がそう決めたから。で、ね。名前ね、そうだな、ユキナ様とかユキナ殿とか・・・」
「いや、マジでやめて下さい。」
「親しみがあるほうがいい?」
「そりゃ勿論そうですよ。」
「じゃあ・・・そうだな・・・。うん、ユキくんて呼ぶよ。」
「へ?」

確かに年下ではあるがもう17歳のれっきとした男である。
その男をつかまえて“ユキくん”・・・。ユキナ、とか呼び捨てくらいしか思ってなかった。

「・・・だめ・・・?」

またもや首をかしげ、すこし悲しそうにのたまう英雄。
ゴク、と喉を鳴らした後でユキナはブンブン、と首を振った。

「い、いえいえいえー、全然、全然オッケーです、親しみ、大歓迎です。」

そう、良かった、とニッコリと微笑む姿は年上には、ましてや英雄などにはちっとも見えず。
といっても外見は多分13、4歳くらいではないだろうか。そして綺麗、というよりも可愛らしい容姿がなおさら際立ち、ユキナをドキドキさせた。

「じゃあ、という事で、ユキくんは書類作業、続けなさい。書類の仕事も大切だ。」

すっと表情を切り替えてまじめにリュカが言った。

ああ・・・この思い、まったく、どうしてくれようか・・・そう思いつつも、はいはい、とユキナはしぶしぶ机にもどった。
それを機にまた、リュカは寝転がり、読書を再開させた。
ほんと読書好きだなぁとか思いつつ、書類に真剣に向き合った。
(さっさと終わらせよう。)
しばらく集中しているとふと視線を感じたのでリュカの方を見た。

「?どうかしましたか?」

ボーっとしてそうなリュカに聞いた。

「ん?ああ、いや、ごめん、何もない。でもユキくん、ほんと集中してたね。」
「やれば出来る子なんです。」
「自分で言う?」

プッと笑いながらリュカが言った。

「まあ誰も言ってくれないので自分で言っておこうかなって。」
「そう?僕が言うよ?でもほんと、やれば出来るならすればいいのに。」
「ありがとうございます。で、まあ、そりゃそうなんですけどね、あはは、俺の性格ですよ。」
「ふーん。」

リュカがまた本を読みだしたので、ユキナはあともう少し、と思いつつ残りの仕事を続けた。
しばらくのち、ようやく終わった。
とりあえず、うーん、と伸びをしてからリュカの方を見るとまだ本を読んでいた。

「ほんとにリュカさんこそよくそんなに集中して読めますね。」

またベッドに近づいてそう声をかけた。

「・・・ん?ああ、いや、途中からそんなにすすんでない。」
「へ?またどうして?」
「いや・・・。ていうか、近い。」

気づけばユキナはリュカのすぐそばに座っていた。

「えーそんなに近くないですよ、傷つくなぁ。」
「・・・。ユキくん、男の僕の何がいいわけ?」

リュカは呆れたような顔をしたあと、理解出来ない、といった感じでユキナに聞いた。