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D.o.A. ep.8~16

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Ep.14 光





「…不可解きわまる方だ」
「………」

柳眉を寄せてそんな感想を述べる赤毛の美男子。
ティルが沈黙に徹しているのはそれに同意せざるを得ないからだ。
当惑して見下ろした。
――――さっき、とつぜん昏倒し、そのまま動かなくなったライル=レオグリットその人を。


合流して、二つ目の分かれ道を行く直前の頃合いだった。
こわばった顔で―――おそらく緊張していたのだろう―――とことこ道行く黒髪の少年。
彼の前にはトリキアス、やや後ろにはティル、そんな配置。
そこで何の前触れもなく、何者かに殴られたかのように、少年はばったりと倒れた。
ぎょっとして肩を揺さぶる。まさか、を危惧する可能性は、ティルにいくつか思い当たっていた。
すなわち、あの森の中での魔物との追いかけっこのことである。
ティルはエルフの中でも、特にあらゆる感覚がずば抜けていたし、リノンのことがあったから、ヴァリムで罠の位置と内容は訊いておいた。
ほぼ完璧に把握しているルートを逃げたのだから、彼が罠にかからないのは当然なのだが、ライルはそうではない。
よくあんな状況で、こちらの指示したとおりに動き、罠にかからず逃げおおせられたものだ。
などと実は少し感心していたが、本当は気づいていなかっただけで、罠の被害を受けていたのではないか。
あの時の毒薬を被っていたのか。あの時の毒針がかすめていたのではないか。
だが冷静に考えて、魔物に遅効性の毒の罠をかけておく意味が見出せない。すぐ仕留めるに限る。ゆえに毒は、全て即効性のはずである。
だったら、避けそこねた罠という可能性は棄ててもいいだろう。
眠気を誘うガスなどは真っ先に思いついたが、ならばこうして二人がなんともないのは奇妙だ。
まったく不可解としか形容の仕様がなかった。
「おい、なに寝てる。ここがどこかわかってるのか」
起こそうとするが、まるで目覚める気配がない。
「おい!」
激しく揺さぶられても眉をしかめることさえせず、深く瞑目してひたすら規則的な寝息を立て続ける。

「…さて、どうします。ここに置いて行くか、引きずって行くか…私はどちらでも結構ですがね」
トリキアスは実にどうでもよさそうな顔で腕を組む。
「置いていくわけにも…ここは魔物がいつ出てもおかしくない」
「なら、彼のことはキミに任せますよ」
ティルがうなずくと、彼は身を翻して更に奥への道を進み始めた。
ライルがなぜ倒れたか、など、少しばかり不思議に思うくらいで、気持ちの大半が最奥の強者に向いているので、さほどの興味もないらしい。
彼の言どおり引きずって行くわけにもいかず、米俵のごとく担ぎ上げて、トリキアスに続く。









作品名:D.o.A. ep.8~16 作家名:har