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D.o.A. ep.8~16

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Ep.12 ±(プラスマイナス)





岩肌が赤くぼんやりと光る光景というのも、状況が状況でなければ、かなり乙なものであっただろう。
赤く発光する部分に、まるで食い物にたかるアリのようにへばりつく、魔物たちさえいなければ。
そして、さらに肌に粟粒が立つようなものを、見てしまった。

――――群がる魔物の腹部が、みるみる膨らんでいく。

「魔物は無性生殖の生命体なのですよ」
トリキアスのささやきによって、ライルはその光景を、妊娠だと確信した。
人間だと、そこに子がいると顕著になるまで数ヶ月は要するが、魔物はもっと早いと聞く。
しかし、いくらなんでもこれは異常だ。
さっきまでぺったりしていた腹が、俄かに臨月近くまで膨らむなど、これでは、一週間足らずのサイクルで子孫が誕生しうる。
無性生殖ならば、正に鼠算式。
道理で恐ろしいまでに増え続けるわけだ。と、納得しかけて、ライルは首を振る。
「な、なんで、こんな」
「ヴァリメタルは魔物に対するプラスの側面も持っていたのか…?」

ぐげ、と何かを吐き出すような濁った音。濡れた何かがボトボト、と地に落ちていく。
見なくても何なのかわかってしまった。というより、わかっているからこそ見たくなかった。
手足をしばらくばたつかせていたいくつもの、割合小さな生き物が、数秒を待たず己の足で立ち上がる。
ややあって、出産のあとのぐったりしていた母体に喰らいつきはじめた。
親を喰らった子は、瞬きの間に育っていく。

「…ヴァリメタルが、成長と繁殖を促進しているようですね」

リノンやロロナを連れて来なくて良かったと、ライルは心底思う。
音だけ聞いていても、生理的嫌悪を刺激し、吐き気を催す。
出産の音と、捕食の音が絶え間なく響いている。なんと凄惨きわまる分娩場であろうか。


作品名:D.o.A. ep.8~16 作家名:har