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D.o.A. ep.8~16

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Ep.11 赤





「おや、―――これは運がいい。まさかこんな場所で誰かにお会いできるとは」

赤毛に黒い衣服を身にまとう男が、微笑を浮かべて立っていた。

ライルとティルは、なによりもまず直感が脳に達する。
どことなく不吉だ、そう感じて、いくらなんでも出会い頭の人間にそれは失礼だ、と理性が追いついてくる。
男はとても繊細な姿かたちをしていた。整いすぎて恐ろしい、とすら思わせるほど。
しかも奇妙なことに、こんな鬱蒼とした、何が出るかわからぬ森の中、彼は完全に手ぶらの状態であった。
自殺志願者、と結論付けるには、彼のたたずまいと、はじめの言葉が邪魔をする。
思い切って訊ねてしまうことにした。

「時に、お二人さん、この辺りにはお詳しいのですか?」

口を開こうとした直前、赤毛の男が告げる。
「あ、まあ…俺は違うけど、こいつは相当」
ティルを示すと、男は笑みを深くする。
「案内を頼んでもよろしいでしょうか。恥ずかしながら、来たはいいが、道に迷いまして。
どこをどう行けばいいのやらさっぱりでね」

彼の素性は気になるが、こちらに害意はなさそうだ。

「道案内と言われても、どこを目指すつもりだ。森の出口か?」
まさかヴァリムを探しているなどとは言うまいが、ティルは少し身構えた。

「洞窟です。仕事がありましてね」


作品名:D.o.A. ep.8~16 作家名:har