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陰陽戦記TAKERU 後編

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第七話 優しい怒り


 窮奇の死はテレパシーで他の魔獣達にも知れ渡った。
『窮奇、破れたのか?』
『小細工なんか使うからだ。』
『グフフフ……』
 しかし3匹は窮奇の死事体はどうでもよかった。
 パワーアップした聖獣と人間の事が気がかりだった。
『どうやら我々は少しばかり見くびっていたようだな、まさかあの力を引き出すまでに成長するとは……』
 饕餮は口元を歪める、
 今まで戦った中で注意するべきは聖獣の力を引き出せる武と美和だったが改めて考え直す必要があった。
『関係ねぇな、ようは全員ぶっ潰せばいいだけだ。』
 すると檮杌は言って来る。
『かつてこの俺達を封印した力を引き出した。つまり全力で戦える事が出来るって事か、面白れぇ!』
 戦いの渇望に檮杌の口の両端は上に上がり瞳は狂喜に燃えていた。
『檮杌、お前は我々の目的を忘れたのか?』
『ああっ? そんなのは二の次三の次だ。あの時と同じ力を持つ聖獣や人間を殺さなきゃ腹の虫は収まらねぇ!』
 すると檮杌は饕餮達に背を向けた。
『言っとくが俺は奴の事なんざどうでもいい、ただ暴れられりゃそれで良いんだよ』
 それだけ言うと檮杌は黒い球体となってアジトを飛び出した。
 後に残された2人、特に饕餮の方は天井を見て怒っている渾沌を見つめると鼻で笑った。
『……まぁいい、奴が勝とうが負けようが関係は無い』
 それだけ言うと饕餮は少しづつ黒い粒子となって消えてゆく自分の腕を見た。
『あと少し、あと少しで完成する』
 饕餮はそう言うと落ち始めている外を見つめた。