小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

ケース

四角の薄いケースの中に
私は座って待っていたの

あなたが帰ってくるのはいつかしら？
誰もいない
小さな世界で

あなたは
何も言わないね

いつも
私に優しくて

私は
すごく幸せだったの

ここから出たくなんて
なかった


さよなら
もう壊れちゃったよ

白いケースに
薄いヒビがあるの
あなたは知ってたかしら

パキンと静かに割れたのを
あなたは知ってたかしら


あなたではない人が
私を引きずりだしたのを

あなたは知ってたかしら


いつの日か夢見ていた

外の空気の中

隣に立つのはあなたではない人

私は知らなかったわ