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CROSS 第7話 『動向』

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第4章 策略



「……あなたたちがこの世界に行くことに関連して、大事な相談事があるのよ」
女司令官は真剣な口調で言った。にもかかわらず、山口は軽い口調で……、
「なんです? 剥ぎ取ってきてほしいデーモンの素材でもあるんですか?」
女司令官は山口の冗談を無視した様子で、机の上の書類の山から1通の封筒を取り出し、山口に渡した。
「……これは何の封筒ですか? 『デモンズソウル』の世界に駐屯している部隊の現場指揮官の辻中佐からとなっていますが」
「読んで見ればわかるわ」
女司令官は静かな口調で言った。女司令官がイライラしていることがわかったので、山口はすぐに、封筒の中にある一枚の便箋に目を通した……。

『我々は何としてでも悪魔連合軍の連中を殲滅しようと思っております。そのための我々の戦法に、あなたは口出ししないでいただきたい』

 ……便箋に書いてあるのはこんな内容だった。落ち着いた文章に思えるが、宛て先である女司令官に喧嘩を売っているような表現だと感じた。
「この男が言っている「我々の戦法」っていうのは、ひたすら敵陣に向かって突撃するという戦法よ」
「……時代錯誤な戦法ですね。ついこの間に戦った神羅軍の連中のほうが、まだよく考えた戦法を使ってきますよ」
「私はこの現場のトップであるこの男に、何度も突撃戦法をやめるように命令したわよ。だけど、あの男は命令を無視して、今も突撃戦法を取っているわ!」
最後のほうは怒気がこもっていた。どうやら、プライドを大事にしているらしい。山口が余計な口を挟むヒマも無く、女司令官は話し続ける。
「この突撃戦法のせいで、戦死者は増えるばかり、その責任は司令官である私に降り掛かってくる!」
そこで女司令官は、くわえていた無害タバコを灰皿に乱暴にブチこんだ。
「私が直接戦地に乗りこんでやろうと考えたけど、ここでの仕事が忙しくてね」
女司令官は書類の山に目配せした。まだ女司令官は話し続ける。
「まあ、あなたがその現場にいて、その男が「不幸なことに戦死」した場合、あなたがその現場のトップになるんだけどね」
女司令官は「察しろよ」という表情で山口を見ていた……。山口は「その意味」を理解した様子でニヤリとした……。
「まぁ、階級上の話だから」
山口が「意味」を理解したのを見て、女司令官は微笑みながらそう言った……。
「それじゃあ、オレたちは出発しますので失礼します!」
「がんばってね!」
山口は司令室を軽い足取りで出ていった。辻中佐という男が「戦死」した場合、自分が現場のトップになれるからであった……。