小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

蛇の目

INDEX|14ページ/32ページ|

次のページ前のページ
 

⑤二日目テープチェンジの後。



すみません、テープを変えさせていただきました。
さて、東京時代に知り合った、後に農業指導員となられた林三朗さんについて
お聞きしたいのですが。
大ヒット商品となりましたブランド米ヒメゴコロの
産みの親として知られておりますが?

「三朗さんは、ようやってくれた。
権造さん・・知り合ったのは、まだ三朗さん、東大の学生のときで
狭いところでも、豊かに育つ、しかもおいしい米の開発をしていたんだ、と。」
「親子ほども歳が違うが、三朗さんも天涯孤独な人だったから、のちのち
ここに来てくれた。」

「あん人のォ、研究テーマにあった土地だったんだァな。
むこうの新潟県でコシヒカリぃ、有名になったろ。
あん人にはぁ、そんなぁ焦りもあったんだろな。
とにかく長いこと尽力してくれた。
しかっし、あんなぁことになっちまって・・。」
ヘビに噛まれて亡くなった、と聞いておりますが。
幸造は、権造の顔色を伺って、耳打ちをされる。

「人間、こころとからだは別ものよ。
所詮、他所んちのもんは、ここの水にはあわんのよ。
ヘビの毒にあたって、からだは、死んでもさ、こころはいまもここで生きておる。
そう云ってます、権造さん。」
「三朗さんを病院に運ぼうとしたけどもさ、
ここに通じる道がなかったっぺ。」
「いろいろ、介抱したけっともォ。残念なことになった。と。」
作品名:蛇の目 作家名:平岩隆