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つやつやネムリー
つやつやネムリー
novelistID. 1618
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アライグマ、「ぼんやりライセンス」をくれ

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わたしはベッドの中で金縛りにあったように動けない。
まぶたを開けることさえ、おっくうだ。
既に、お日さまは傾いてきている頃だろうに。
それもこれも全部、タカヒロと別れたせいだ。



お腹が減ってとうとう我慢ならなくなって、
わたしはついにベットから出る。




キッチンに入り、わたしは衝撃を受ける。
食卓の上で、小さなカラダのアライグマが食事をしていたからだ。
食卓や床には、ジャガイモやらキュウリやらの破片が
無惨に散乱している。






言葉を失ったまま立っているわたしに
アライグマはようやく気がつき、
その頬を恥じらいで染める。
「随分とぐっすりお休みになられていたので、
起こすのも申し訳ないと思いまして...。
なので、先に食事を取らせていただきました。
いえいえ、気に為さらないでください。
料理を作るのは得意ですので、
冷蔵庫の中のものだけでも、案外おいしくいただいています。」
喋っている間も、口からはぽろぽろと良く分からない何かの食べかすが
絶えず次々とこぼれ落ち続ける。

やがてその食事も終わる。
じきに帰るのだろうと思っていたのだが、アライグマは本棚から抜いたマンガを床に並べ、
本格的に読み始める。
「この本は前々からずっと探していたんです。睨んでいた通りの出来です。」

日が落ちてからは、テレビの前にかじりつき離れる気配はない。

そろそろ寝ようかと寝室に向かう時に
アライグマに呼び止められる。
「申し遅れましたが、アライグマという動物は
とても清潔で几帳面な性格なものなのです。
家事等やらせたらお手のもの、しかも不平不満もいわないので、
どこの御家族のところへお邪魔しても、
大変に評判が良いんです。」

こうしてアライグマとの共同生活が始まることになる。
どうやって手に入れたのか、アライグマはわたしに、
「ぼんやりライセンス」をくれる。
そういうわけなので、わたしは会社に行くのをやめ、友達の誘いも乗らず
ぼんやりするのが日課となる。


ある日、アライグマがタカヒロとデートするという。
タカヒロのことは、最近ではすっかり忘れていたのだが、
アライグマはわたしの代わりにうまく仲直りをしてくれていたらしい。
おまけにデートまで、わたしのかわりに行ってくれるという。

「せっかくだからぼんやりしていたらどうですか。