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ルノ・ラダ ~白黒~

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一目惚れ



ここ都市同盟では今戦争が起きていた。

ハイランドとの対立。

そして若干15歳の少年がリーダーとしてあらたな同盟軍が形成された。
そしてその同盟軍はとうてい敵う事はないと思われたハイランドの恐るべし皇子ルカを倒した。最後に止めをさしたのはその歳若い少年だった。

そして戦争は終わるかと思われたが、どうやらまだ終わりは見えそうになかった。

「ラダー。」

ナナミが走ってきた。

「コウって名前の男の子がいたんだけどねー、その子が言うには今ラダがあっちの奥で釣りしてんだって。」
「・・・え?何か意味が分からないけど。」
「何かね、向こうにいる人がその男の子、コウくんっていうんだけど、その子はその人があんただって思ってるみたい。」
「・・・ああ。意味分かったけど・・・ナナミ頭でまとめてから話しないか?伝わり辛い。」
「んもう、いいじゃないそんなのはどうだってー。ねえルックくん。」
「どうでもいい、ね・・・。」

今日は3人で気分転換にこの静かな村に来ていた。

城にいるとどうも騒がしくなる。
それは主にナナミが五月蝿いからというのと、ラダがあまりにも男に(女に、ではなく)もてるせいであった。

ラダはれっきとした男である。
だがその姿はどんな男でも参ってしまいそうなくらい美しく色気のある様子であった。
髪は金色がかった薄茶色でさらさらとしていた。
瞳は金色で肌は象牙のように美しかった。
その為ラダは小さな頃からよく身の危険にさらされる事があり、養父が道場をしているという事もあったが体術をずっと習ってきた。

そして今、軍主であるにもかかわらず色々な男から言い寄られるラダ。
いい加減自分を良く知る兵士からは誘いかけられなくはなってきたが、次々と志願兵はやってくる。
そして最初はまさかこの美しい人物が自分の上に立っている軍主だとはまず気付かず、声を掛けるのである。

「私を好いてくれるのは嬉しいけど・・・普通に上官として慕ってくれるほうがいい。」

ラダは辟易しながら呟いた。
まわりは仕方がないよな、と内心思っていた。

ルックはそんなラダに恋慕しない数少ない仲間である。だからラダはルックとよく行動していた。

「そう、どうでもいいのよ。それよりもラダのニセモノさんに会いに行こうよ?」
「それこそどうでもいいよ・・・僕は面倒くさい。」
「もう。ルックくんは若いんだからそんな事言ってちゃだめよ?という事で、行くわよー。」

どうやら行こうというのは質問でも誘いでもなく、命令だったようだ。
ため息をつくルックに、仕方ない、と肩をすくめるラダ。

コウに言われた場所に行ってみると、確かに誰かが釣りをしていた。
その人物は3人の気配に気付き、振り向いた。

バンダナの下は黒い髪。
瞳は黒いような青いような不思議な色だった。
とても端整な顔をしている。
物静かそうな、だが隙のない少年だった。

「っルノ・・・。久しぶり・・・。」

ルックが驚いたように息をのんだ後呟くように言った。
ルノと呼ばれた少年はニッコリとして立ち上がった。

「やあ。ルック。本当に久しぶりだね。元気だった?」
「・・・そっちこそ。あの日いつの間にか勝手にいなくなっておきながら。」
「ああ、ごめん。ちょっと、ね。ルックは?今何してるの?そちらは?」

ルノはラダとナナミに気付いてルックに聞いた。
ナナミはふと思った。
ラダを見てぽーっとしない男の子は久しぶりだわ。

「同盟軍の軍主とその姉だよ。僕は今そこにいる。また星が集まっているんだ。」
「ああ、そうなんだ。」
「ラダとナナミだよ。そしてこっちがトランの英雄、ルノ・マクドール。」
「どうも初めまして、ルノです。・・・ルック、いちいちその紹介は何か嫌なんだけど。」
「ふん、事実じゃないか。」

ラダとナナミはびっくりしていた。
あのトランの英雄がこんな近くに・・・。
物凄い人だと思っていたけど、目の前の少年はとても物静かで優しそうな様子しか伺えなかった。
そう、それに、少年。
もう20歳前後くらいのはずだろうに・・・。

「あ、こちらこそ、初めまして、お会いできて嬉しいです。ラダといいます。」
「あたしがナナミ。よろしくね。」

ルノはまたニッコリして、よろしくね、と言った。

ラダは急に心臓が跳ね上がったような気がした。

この人、何て優しげに笑うんだろう。
確かとても辛い思いをされた筈。
そして見た目少年という事は、噂どおり呪いの紋章ソウルイーターを宿して不老になっているという事だと思う。
なのに、何て優しく笑うんだろう・・・。

ラダは赤くなった。
ドキドキがとまらない。
・・・どうしよう・・・。
私はもしかして・・・、いや、絶対に、そうだ。

「ラダ?どうしたの?何か顔赤いよ?しんどいの?」

ナナミが心配そうに言ってきた。
話していたルノとルックもナナミの言った事に気付いてラダを見る。

ルノさんが私を見た。
それだけでうっとりするくらい嬉しい。間違いない。

「あ、あの・・・実はさっきから心臓がずっとドキドキいってて・・・。」
「ええっ?やだ、疲れがきたのかなっ?」
「もう帰ろうか・・・?」

ナナミとルックが心配そうに言った。
ルノもどうしたのだろうと首をかしげている。

「い、いや、違う。私・・・その・・・。」

ラダが胸を押さえながら更に赤くなった。

「大丈夫・・・?えっと、不整脈・・・?」
「ち・・・違います・・・。いいボケっぷりですね・・・。そうじゃなくてその・・・わ、私ルノさんの事っ、す、好きですっ。」

シーンとする3人。
最初に言葉を発したのはナナミだった。

「やだっラダ、ホントに!?えーもうっ。おねえちゃんびっくりしたじゃないっ。あーでも分かる分かる。うんうん、ルノさんって素敵だもんねー?」

ナナミがニコニコとラダの手をとった。
ラダも、でしょう?とニッコリする。

「ちょ、ちょっと待ちなよ・・・。何それ・・・。散々同性から思いよせられて辟易してたくせに自分が同性に思いよせてどうするのさ・・・。」
「それとこれとは別。私の勝手ではないかなあ。」
「そうよそうよ。ルックくん堅いわよ。」
「堅くてけっこうだよ。ほんとに・・・。知らないよ僕は。周りに混乱が起きても。」

それはそれ、何とかなるだろう、とラダは言った。
ナナミもうんうんと頷いている。
ぽつんと取り残されたように当事者のルノは戸惑っていた。

「・・・えっと、あの・・・?」
作品名:ルノ・ラダ ~白黒~ 作家名:かなみ