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律姫 -ritsuki-
律姫 -ritsuki-
novelistID. 8669
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君ト描ク青空ナ未来 --完結--

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31

隣の部屋から物音がしなくなって、ドアを開けてみるとそこにいる少年はすっかり寝息を立てていた。
「眠ったってことは少しは安心してるのかな?」
「ただの疲労だと思うけど」

空流のいる隣の部屋で話すのはその部屋の主とその友人。

「フルーツ類はだめになるから今日中に食べてって言ったんだけどな」
「もったいないから俺が食べる。とってくるよ」

部屋の主の友人が足音を消して、隣の部屋へと入り、フルーツ類の載った皿を回収する。
無防備に眠る少年に布団をかけ、電気を消してから部屋を出た。

「で、どうするんだ?」
「なんだ、敦也わかってないの?」
「お前が考えてることなんてわかるわけないだろ」
「あの子相手にはあんなに何でもわかってるみたいに話してたのにね」
責めるような口調でそう言いよこす。
「やっぱり聞いてたのか」
「そりゃここにいれば少なからず聞こえるよ。あの子、純粋で可愛いね」
「その言葉をどう受け取っていいのかわからないけど?」
「いろいろ遊びがいがありそうだなって」
返す言葉が見つからず、楽しそうに言う樹から目をそらす。
何をたくらんでいるのかはわからないけれど、あの子を酷く傷つけることは想像に難くない。
「どうしたの?今頃かわいそうになった?」
「別に」
それきり何も言わない敦也に樹が何とない笑みを浮かべる。

「敦也は俊弥さんに何をわからせたかったの?」
「そこまで聞いてたのか?」
「うん、だって最初から変だと思ってたよ。敦也が何も言わずに俺に協力してくれるなんて」
「そこまでは関係ないだろ」
「それもそっか。でも、敦也はもういいよ。あとは俺だけで充分だから。ここまでのご協力どうも。学食のお礼はまた今度」
「あっさりだな」
「うん」
「まだ彼に何をするのか聞いてないけど」
「聞く必要がある?」
「聞く権利はあると思うけど」
「そう?まだ詳しくは考えてないけど・・・俺になつかせてみようかな。ゲームみたいで面白そうだと思わない?生の人間使ったゲームなんてそうそうできないし」
普通のゲームにはもう飽きたから、と付け足す。

「鷹島さんごっこはそれか」
「鷹島さんにクリアできたんだったらきっと俺にもできる。上手く行ったら二人で鷹島さんにでも会いに行こうかな。もちろん偶然を装って」
笑みを浮かべながらそう言う樹に敦也は何も言葉を返さない。

「鷹島さん、どんな顔するかな。それ考えるだけで今から楽しみ」

敦也が言葉を返さぬまま少し時間が流れて、そしてポツリと言った。
「俺はどうして樹と気が合ったのかやっとわかった気がする」

「え?なんか言った?」
「なんでもない。さっきの樹の言葉が真実であることを信じてる」
「さっきってどれ?俺は嘘なんていってないよ」
「ああ、そうだといいな」

樹の問いにおざなりな答えを返して鞄を持った。

「帰るの?」
「ああ、また来る」
「うん。じゃあね」
「またな」

隣の部屋に眠るを起こさないようにと気遣ってか静かにドアを閉めて、敦也が部屋を出た。

それを確認して樹が呟く。
「さてと、どうやって落としていこうかな」
その呟きはやけに大きく部屋の中へと響いていた。