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律姫 -ritsuki-
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君ト描ク青空ナ未来 --完結--

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第二部・30話〜


30

入ってきた人を見て、思わず顔をしかめる。
「そんな嫌そうな顔しなくってもいいのに」
一ノ宮の人間ってだけでも嫌いなのに、この人の態度はそれに輪をかけて嫌な感じを醸し出す。
「そんなに俺のこと嫌い?」
そういいながら顔を覗き込まれて、その顔がありえなく近づいてきた。
「なにするんですか!?」
あわてて、後ろへと下がる。
めいっぱい距離をとると、樹さんがクスクス笑い出した。
「何がおかしいんですか?」
「いいや、意外と可愛いところがあると思って」
「え?」
「このくらいで慌てふためくなんて、慣れてないんだ?」
その言葉にバカにするような調子があるのに気づいて不愉快になる。
「どうせ彼女がいたことも好きな子がいたことすらありません」
さっきの敦也さんからの質問ついでにそう言ってやった。
「そっか、それはそれは」
またバカにするような調子。
そりゃあこの人くらい顔が整ってれば恋愛経験も豊富なんだろうけど。

「純粋なのはいいことだよ。近寄ってくる女なんてろくなのがいないから」
フォローされてるのがわかっても、それはそれでなんだか腹が立つ。
「あなたと話をするつもりはありません」
きついことを言ってるのはわかってるけど、この人にはこのくらいのこと言っても許されると思う。
「やっぱり今日は疲れた?それともおなか空いた?」
帰ってきたのは、まったく見当はずれな答え。
「特に疲れてもいませんしおなかも減ってません」
「まあそう遠慮しなくってもいいよ。今なんか食べるもんもってくるから。食べ終わったら休めばいい」
それだけ言うと止めるまでもなく部屋を出て行ってしまった。

なんか、最初あったときとずいぶん印象が違うような気がする。
これが勘違いならいいけれど・・・なんだか嫌な予感。


「おまたせ。何が好きだかわからないから適当に持ってきた」
そういいながら持ってきた盆の上にのってるのは果物類とお菓子、それからコンビニで売ってるようなおにぎりとか惣菜。
「ありがとうございます」
わざわざ持ってこさせてしまったことにはお礼をいっておく。
「でも何もいりません」
おなかも空いてないしこの人が持ってきたものをこのまま食べるのはなんだか負けたみたいで嫌だ。
「俺がいると食べられない?」
的を得ているのか得ていないのかのボーダーラインの質問には返事をしなかった。

「じゃあ一人でゆっくり食べて良いよ。果物とかは今日中に食べないとダメなのもあるから悪くしないでね」
そういいながら本当に出ていった。

なんだか拍子抜けする。
敦也さんがめいっぱい警告してきたから、いったいどんな目に会うのかと警戒態勢だったのに、普通・・というか普通よりも親切な態度をとられている気がする。

バタン、と音がして、さっき閉じたばかりの扉が再び開いた。
「言い忘れた。飲み物は冷蔵庫の中に適当に入ってると思うから」
それだけ言って、また扉がしめられた。

さっき、敦也さんに何が起きているのかを話してもらった。
それだけでも飲み込みきれずにいるというのに、教えてもらったことと現実とのギャップは何だろう。

「・・・疲れた・・・」
知らない人と話をするだけでも本当ならすごく疲れるのに、それ自体がおまけみたいなものだった今日。
まだ空は暗くなる前だけれども、ベッドに横になって今日あったことを頭の中で整理しているうちにいつの間にか意識がなくなってた。