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CROSS 第1話 『特殊部隊『CROSS』』

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手荒なはじまり



   第1話 『特殊部隊『CROSS』』

【時間軸】 … 異次元歴42733年  9月8日
【場所】 … (本文参照)



 そこは、ある男の部屋であった……。

 その部屋には、壁掛け式テレビやパソコンやベッドといった電化製品や家具類が、10畳ほどのスペースにぎっしりと置かれていた。大型テレビの前には、はるか遠くの故郷から持ち込んだゲーム機があり、テレビやそのゲーム機の周りには、お菓子やつまみまどのこぼれカスなどのゴミが散乱していた。
 そして、ベッドには、この部屋の主である日本人の男性指揮官が、大きなイビキをかきながら寝ている……。その指揮官は20歳前半ぐらいで、黒の短髪で軍人にはあまり見えない体格をしていた……。

 だが、実はというと、この男がこの物語の主人公なのであった……。

 さて、しばらくすると、この指揮官の部屋に勤務開始を告げるコンピューターの女性の声によるアナウンスが部屋のスピーカーから流れた。その部屋のベッドで寝ていた指揮官は、うめき声をあげながら、両目を開いたが、すぐに両目を閉じ、また眠り込んでしまった。二度寝というやつである。
 また、しばらくすると、今度は生身の人間の女性の声によるアナウンスがスピーカーから流れてきた。このアナウンスは、2、3分の間隔で何度かこの部屋に流れてきたのだったが、アナウンスの回数を重ねるごとに、どんどん殺気だった声となっていく……。
「う〜ん」
何回か経ってから、ようやく指揮官は目を覚ます。まだ眠たそうだ。
 ベッドの上に置きっ放しだった新聞が、その拍子へ滑り落ちていった。その新聞の見出しには、『所属不明のモンスターによるテロ事件、多発』という太文字が踊っており、その横には動く写真が載せてあった。

 まだ眠たそうにしている彼は、着たまま寝てしまった服を整えると、嫌そうな表情で部屋から出ていく。
 彼の服装は、スマートな水色の軍服と、水色のベレー帽だ。ズボンの両側の腰部分には、拳銃がおさめられたホルスターがそれぞれ装着してある。2丁の拳銃を腰に装備したまま寝るとは、危険極まりない行為だといえる……。

 この物語の主人公である男は、山口という名前であった。

 彼は軍人であり、とある特殊部隊の指揮官などを務めている。独身で、恋人は今のところいない。階級は少佐だ。
 先ほども述べたが、軍人にはあまり見えない体格の持ち主であったが、彼自身はそれを気にしてなどいなかった。なぜなら、彼はある特殊能力を習得しており、戦場で戦うことに支障は無かった。
 ある特殊能力とは何かについては、すぐにわかることなので、ここでの説明は省かせていただく。

 そして、彼が指揮官を務めている特殊部隊の名前は、『CROSS』という……。それについても後にわかることだ。