白狼のクォンタム
第七章
退院してからすぐ、クォは学園に再び登校するようになった。その日の昼休み、早速クォは、入院中の様子をアルファに聞かれていた。
「え、理事長って、お見舞いに三日しか来てくれなかったの?」
「えーと、うん、先生に聞いてみたらそうみたいですね」
「じゃあ、兄さんと話した日が最後かぁ……」
「ん?」
「ううん、なんでもないよ。でも、いくら仕事があるって言っても、たった一人の弟が一週間……一週間だよ?そんなに長い間眠り続けてやっと目が覚めたっていうのに、お見舞いが三日間だけって、ちょっと理事長ひどいんじゃない?」
と、食事を食べながらむっとした様子だった。アルファの弁当は、最後に見た時よりも、ずっとおいしそうになっていた。
そのことを尋ねると、アルファは少し照れたように……しかし嬉しさを隠すこともなく、
「ああ、お弁当?う、うーん、自分ではおいしくなってるかどうかってわからないけれど、でも、最近はお弁当作るのがとっても楽しいよ。
やっぱり、自分の分だけじゃないと、やる気が違うよねっ」
「自分の分だけじゃないって……もしかして、ジュオーンさんの分ですか?」
「……ん、そうだよ。研究室が貰えたからね。退院直後から入り浸ってるから、食事をどうしても忘れちゃうみたいなの」
今もお弁当を届けてきたところなんだよ、とアルファ。話を聞くと、助手のようなこともしていたらしい。
「そっか……兄妹、上手くいってるんですね」
そう言いつつも、クォにはいまいち実感がわかなかった。ジュオーンとの戦いの中で気を失い、そのまま一週間も眠り続けていたクォにとっては、いきなりジュオーンとアルファが仲直りしているように思えてならないのだ。
「うん、クォ君との戦いで、全身ぼろぼろになって……自分の力に苦しむクォ君を見ていたら、もうフェンリルの力を手に入れようとは思わなくなったみたい」
「そのことは……」
「あ、ううん!待って!私から謝らせて!」
「いや、もう気にしてないから、いいんです。確かに戦ってる時は、ジュオーンさんに対して怒りを持っていました」
「……うん」
「でも、その怒りは、アルファさんを道具として扱ったからです。



