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白狼のクォンタム

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第三章



 クォがアルファに噴水前で引っ叩かれてから二日後。アルファはレイリスやクォと一緒に行動を開始した。建前としては、『理事長戦でのターゲットであるクォへの、一ヶ月間の密着取材』ということになっている。
 名もない新人報道部がいきなりぶち上げる記事としては、注目度は悪くない。『理事長の犬』として、良くも悪くも有名である―――悪くも、の方はほとんど逆恨みだが―――クォの取材というのは、これまでにも何度か行われてきたことであるからだ。
 というのも、レイリスの許可の下で行われる希望者とクォとの戦い、つまり理事長戦は、一年に一回しか挑戦することができない。
 また、理事長戦でクォに買った時に得られる、理事長からの特典も、一年に一人に(複数で挑戦した場合は、そのグループに)しか与えられない。
 つまり、学園の年度が始まる一月に、すぐに理事長戦を申し込み、それでクォに勝つことができれば、他の人に先んじて、特典を得ることができる。
 しかし、一方で、年度の終わりである十二月まで自分の実力を高めれば、そうでない場合に比べて、クォに勝てる可能性も高まる。
 あくまで高まる、というだけで、勝てるというわけではないのだが。
 このような理由があり、言ってみれば、理事長戦というのは、早い者勝ちというか、一種のチキンレースのような状態になっているのだ。
 そのために、理事長戦に参加しようという生徒は、それぞれにクォのことを調査しており、その調査した情報を外部に漏らすことはまずない。
 また、自分よりはるかに上の戦闘力の持ち主であるクォを見て、その相手の戦闘能力を把握し、あるいは、彼我の能力を比較するというのは、それだけで困難なことだから、理事長戦を申し込んだ当人であっても、おざなりな調査しかしない、というところもある。
 まして、理事長戦を観戦するのには興味があるけれど、クォと戦う気など無いという人にとっては、クォの強さの理由は気になっても調べようがないのだ。だからこそ、報道部がクォのことを調べる(解説する)記事には人気がある。
 とはいえ、アルファは報道部は報道部でも、二日前にようやく報道部に入った新米だ。それも特別魔術や武術に長けているわけではないアルファが、飛び入りでクォの強さの秘密に迫る、などと言うことができるのだろうか。
作品名:白狼のクォンタム 作家名:今朝人