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りりなの midnight Circus

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第五話 疑惑


「これでお前達も身に浸みただろう。例え相手より遙かに劣る戦闘力しか持ち合わせなくともそれらを適正かつ的確に運用することで、上位の戦闘集団と同等以上の戦果を上げることが出来る」
 エルンストはその言葉を正に身を以て彼らに理解させた。
 そして、その後、かねてより予定していた模擬戦闘ではエルンストは訓練生を後方から指揮し、なのはとヴィータを良いところまで追い詰めはしたが結果的に二人のタッグにより惨敗を期した。それでも、今までは二人を追い詰めることすら出来なかった訓練生達は改めて集団戦闘の大切さと、エルンストの情報戦力高さを目の当たりにし、彼らのエルンストに対する棘が若干和らいだように見え、なのはとヴィータは少しだけ安心した。
 それでも、なのはとヴィータはエルンストが何か隠しているのではないかという疑念が頭から離れず、その模擬戦の前半はエルンストの真意を測るために少し精細を欠いた行動だったように思える。
 エルンスト・カーネル一等陸士。任官してからまだ僅か4年程度である陸士にもかかわらず、彼の情報戦術にはベテランのなのはとヴィータであっても驚愕するしかなかった。
 だからこそ、疑念が更に深まる。彼は一体何者なのか。何が目的でこの陸士教導隊に就任となったのか。彼のその人となりの僅かが見えてくるに従って、彼は教導官を目指しているようにはとても思えなかった。

 なのはとヴィータは、今日の訓練の報告書をまとめ上げ、ベルディナへとそれを提出し終わった後、なのはの自室で休憩していた。
 その部屋は若い女性にしては随分と簡素に見えるが、所々に見受けられるアクセサリー類やファッション情報誌などからなるほどこれは確かに女性の部屋だと納得のいく塩梅だろう。
 その隅に、地球の最新ファッション、東京渋谷食べ歩きツアーなどと題されたムック本がバックナンバーまで揃っているところを見ると、今度の休暇で地球に帰省する予定でもあるのかも知れない。
 なのははベッドに腰掛け、枕を抱き寄せると執務椅子によじ登ったヴィータと話を始めた。
「今日はなんだか少し疲れたな」
 そういうなのははそのままころんとベッドに横になった。
「まあな、あのエルンストって奴、なんか気にいらねぇ」
 ヴィータは部屋に設えられたコーヒーメーカーから勝手にコーヒーをつぐと、砂糖とミルクをたっぷりと入れて飲み始めた。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪